農業白書
◎農業白書 自給率をどう上げるか
今年の農業白書は、世界的な需給逼迫(ひっぱく)で、穀物市場が激変していることを指摘した。6割を海外に頼る日本の食の現状に強く警鐘を鳴らしている。
中国やインドの経済成長とともにトウモロコシなどのバイオ燃料への転用が進む。穀物の高騰は構造的との見方が強まっている。
国内の食料供給を優先させ、輸出を規制する国が広がると、海外に依存する国は、調達に苦しむことを覚悟しなければならない。
白書の言うように、限られた農地を有効活用して国産農産物の生産を増やすことが最優先の課題だ。食料基地としての北海道の重要性はますます高まる。
いまや農業従事者の6割は65歳以上だ。後継者不足などで耕作放棄地は道外を中心に38万ヘクタール。埼玉県の面積に匹敵する。
日本のカロリーベースの食料自給率は1965年度が73%だった。2006年度は先進国で最も低い39%に落ちている。
外食とともに、食卓は調理済みの加工食品が増えた。価格の安さと量を求める中で、原材料は輸入ものに多くを頼っている。
穀物の高騰に伴い、食品の値上げが相次いでいる。消費者は身近な食品を輸入に頼り過ぎることに不安を持っている。
日本の農業をどう組み立て直すのか。コメ以外の食料をどう安定的に確保していくのか。
白書にとどまらず、政府はこれらの点で長期的な展望を示すべきだ。
(北海道新聞2008.05.17社説一部抜粋)
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