函館の暖冬影響

◎暖冬の影響あちこちに
 間もなく3月。今冬はこれまで、平均気温が例年より高く、降雪量も平年の約半分。暖冬のまま冬が終わろうとしている。町はすでに春の商戦に入り、大沼のハクチョウも北へ帰り始めている。「暖かく楽だった」との声が多く聞かれるが、暖冬・少雪は良いことばかりではない。この冬の気象状況とさまざまな影響を探った。
◆農業・漁業者「春以降不安」
 農業・漁業者にとっては、暖冬の影響とこれからの天候に不安が大きい。各地の農家では「ハウス栽培では除雪の手間が省け、暖房費が少なくなった恩恵はあるが、それ以外は畑の土壌など、今後の不安でいっぱい。しばれるときにしばれないのは、春以降どうなるのか心配」と言葉が重い。函館市銭亀沢漁協によると、今のところ、魚種、量ともほぼ例年通り。だが、専務理事は「暖冬の影響が春、夏に向けてどう出るかが心配」と語る。
 大沼国定公園で越冬するハクチョウも、飛来数は例年の約7割ほどの約70―80羽にとどまった。例年は3月上旬に生息地のシベリアに向かうが、ことしはすでに帰り始め、見物に来た人をがっかりさせている。
 財団法人日本さくらの会「桜守(さくらもり)」は「暖冬の影響でサクラの開花は早まりそう」と話す。だが「これからの気温の動向が大切。暖かいと害虫発生などの問題もある」と話す。函館植物研究会の会長も「暖冬だったが、ここにきて寒い日もあり、植物は混乱していると思う」と指摘。人間、自然にとって、暖冬は悪影響も大きいようだ。
函館新聞抜粋)