アトピー性皮膚炎の原因(3)

◎体質や悪化要素によって症状が引き起こされる。
 アトピー性皮膚炎は、「皮膚炎体質」という、皮膚炎を起こしやすい体質的な素因をもった人に、「悪化させる要素」が加わることで起こります。皮膚炎体質には、「アレルギー体質」とドライスキン」の2つがあります。
○悪化させる要素について
アトピー性皮膚炎の患者さんに最も多く見られる悪化要素には、ストレスがあります。成人の患者さんに多く、受験や就職などのストレスで、再発したり悪化することがあります。
 さらに、乾燥や手でかくことも症状を悪化させる要素です。皮膚は乾燥するとそれだけでかゆみを生じます。かゆいとついかいてしまいますが、かくと皮膚は傷つき、皮膚のバリア機能はさらに低下します。そして、ちょっとした刺激で湿疹ができやすくなり、さらなるかゆみを引き起こすという悪循環が起こってしまうのです。
 そのほか、汗をかいたままにしておくことも、症状を悪化させることになります。また、「とびひ」などの皮膚の感染症を合併しやすくなります。乳幼児期では食物アレルギーの合併が悪化要素となる人もいます。
 ダニやほこりが悪化要素になることもあります。掃除や部屋の換気など、生活の中で悪化要素を減らす工夫をすることも治療に役立ちます。
九州大学院教授 古江 増隆)