アトピー性皮膚炎の原因(2)

◎体質や悪化要素によって症状が引き起こされる。
アトピー性皮膚炎は、「皮膚炎体質」という、皮膚炎を起こしやすい体質的な素因をもった人に、「悪化させる要素」が加わることで起こります。皮膚炎体質には、「アレルギー体質」とドライスキン」の2つがあります。
○ドライスキン体質
皮膚の表面は「角層」で覆われています。さらに、角層の表面は「皮脂腺」から分泌された「皮脂」で覆われ、体内の水分が失われるのを防いでいます。角層の細胞間は「角質細胞間脂質(セラミド)」という物質で満たされ、水分はここに保持されています。それと同時に、角層は、さまざまな刺激から体を守る役目(バリア機能)を果たしています。
しかし、もともと皮膚の分泌量が少なく、角質細胞間脂質も不足していると、皮膚は著しく乾燥した状態になります。これがドライスキンです。ドライスキンでは、角層が剥がれ落ちたり、細胞間に隙間ができたりして、バリア機能が低下しています。
すると、外からのさまざまな刺激を直接受け,アレルギーの原因となる物質を侵入させてしまいます。こうしたことが、アトピー性皮膚炎を発症しやすい状況をつくっていくのです。
九州大学大学院教授 古江 増隆)