アトピー性皮膚炎の原因(1)

◎体質や悪化要素によって症状が引き起こされる。
アトピー性皮膚炎は、「皮膚炎体質」という、皮膚炎を起こしやすい体質的な素因をもった人に、「悪化させる要素」が加わることで起こります。皮膚炎体質には、「アレルギー体質」とドライスキン」の2つがあります。
○アレルギー体質
 アレルギー体質とは、ダニや花粉が体内に入ったときに、体の中でアレルギー反応の元になる「IgE抗体」という物質をつくりやすい体質のことです。アレルギー体質が関係する病気は、他にも、「ぜんそく」「アレルギー性鼻炎」、「食物アレルギー」などがあげられます。アレルギー体質で、皮膚に症状が出やすい人はアトピー性皮膚炎となり、気管支に症状が出やすい人はぜんそくになることがあります。
 なお、乳児期では、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーが同じ病気だと思われがちなのですが、これらは、別の病気です。ただ、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎と同じ時期に現れることが多いために、混同されやすいのです。
 食物アレルギーは成長するにしたがってほとんどが完治します。食物アレルギーであれば医師の指導のもと、原因となる食物を除いた食事をとる必要があります。しかし、アトピー性皮膚炎の食物ではないかと心配して、むやみに食事制限をすることは子どもの成長に悪影響を及ぼすことがあるので、避けてください。
九州大学大学院教授 古江 増隆)