函館のササラ電車試運転

ササラ電車準備OK
 本格的な雪のシーズンを前に函館市交通局は8日、除雪用の市電「ササラ電車」を試運転した。車体前後に付いた竹のブラシを回転させたり、ボルトに緩みが無いかを確かめたりした後、2両が連なり、駒場車庫から五稜郭公園前までの往復約5キロを走行した。
 「ササラ」は竹を細かく裂き、長さ約30センチに束ねたもの。同局では腰が強くて折れにくい秋田県産の「孟宗竹」(もうそうだけ)を使用。1両には前後合わせて約900本のササラが使われている。ササラのブラシを回転させながら運行し、軌道周辺に雪をはねていく。
 車両は、明治時代に客車として製造され、1937年(昭和12)年に除雪車両に改造された。除雪は2000年ごろから外部委託され、また、レール上も走行可能なトラック(軌陸車)での作業が増え、ササラ電車の出番は減っている。
 だが、昨年度の出動は9回で、走行距離は約182キロ。1昨年の約67キロと比べると3倍近くの距離を走り、健在ぶりを発揮。同局職員は「レトロな趣は風物詩として親しまれるが、市電の冬にはなくてはならない存在」と、念入りに点検していた。
函館新聞抜粋)