日本の出生率

■ 厚生労働省が発表した2015年の人口動態統計によると、一人の女性が一生に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1・46で、前年に比べ0・04ポイント上昇した。
 北海道は0・02ポイント上昇の1・29だった。
 出生数も前年をおよそ2千人上回る100万5656人と、5年ぶりに転じている。
 それでも、人口維持に必要な出生率2.07、政府が目指す希望出生率1・8とは、まだまだ大きな開きがある。
 結婚、妊娠や出産、育児の環境整備などの少子化対策を同時並行で推し進めなければ、目標達成は遠い。政府の本気度が問われる。
 出生率の上昇について、厚労省は「経済や雇用の好転」などが要因と見る。
 だが、果たしてそう言い切れるだろうか。
 処遇が不安定で、収入が少ない非正規労働者が雇用者全体の4割に達しているのが現実だからだ。 現状のままでは、結婚や出産への意欲が高まらず、出生率の安定的な上昇は望めまい。
 こうした労働環境の根本的な改善が急がれる。
 晩婚化、晩産化の傾向が進んでいることも気になる。
 第一子を産む年齢は前年を0・1歳上回る30・7歳と、過去最高を更新した。第一子の出産年齢が上がると、第2子以降の出産が減ることが指摘されている。
 結婚や出産はもちろん個々人の判断によるが、女性が望む時期に結婚、出産、子育てができるよう、環境をしっかりと整えておかなければならない。
(2016.05.27北海道新聞より一部抜粋)