動物のうんち

 自然界には、動物のうんちを利用して生きる生き物もいます。
一番うまく利用しているのは、植物かもしれません。
 動物のうんちには植物の成長に必要なリンなどの栄養と水分がたくさん含まれています。それを利用するために植物がとった作戦が「動物に食べられる」ということです。
 次の命に育つ種をおいしい果肉でくるんだ実をつくり、動物を誘うのです。食べられた果肉は消化されて動物の栄養になりますが、種は消化されず、やがて、栄養いっぱいのうんちと一緒に出てきます。種は、その栄養を吸収して成長し、根や葉を伸ばすのです。
 この作戦にはもう一つ、植物にとっていいことがあります。それは「移動」です。
植物は自分で動き回ることができません。でも、実を食べた動物は消化する間に移動し、別の場所でうんちをするので、種は親の植物から遠く離れた場所に根を張ることができます。
 長い年月をかけてつくりあげられた植物と動物のふしぎな関係です。それを取り持つのが、うんちなのです。
鳥は:しめしめおいしい実を見つけたぞ。
植物は:しめしめこれで遠くまで実を運んでもらえるぜ。
(2015.01.24北海道新聞より抜粋)