iPS細胞から腎臓 透析患者の再生医療に

■京大、iPS細胞から腎臓の一部作製 世界初 透析患者の再生医療
 さまざまな組織や臓器の細胞になる能力があるヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、腎臓の組織の一部を作ることに京都大の長船健二准教授らのチームが世界で初めて成功し、1月22日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
 腎臓は多くの組織からなる複雑な構造を持つ。いったん損傷すると修復が難しく人工透析を受ける人も多いが、今回の成果は腎不全や、糖尿病による腎症の患者らに、腎臓の細胞や各組織を移植する再生医療につながると期待される。
 作製に成功したのは、体液中の老廃物をこし取り尿を作る腎臓のうち、管状の「尿細管」。
【ようやくスタート】
 東京慈愛会医大の横尾隆腎臓再生研究室長の話
 細胞や組織が集まればすぐに腎臓になるわけではなく、糸球体や尿細管などの立体的な構造を作り、機能しなければ「尿をつくる」という動きは再現できない。スタートラインにやっと立ったというのが現状だろう。
 京大チームの成果は、腎臓の再生医療に向け大きな前進だ。
(2013.01.23北海道新聞より一部抜粋)