太陽の黒点が少なく弱まる兆し

■太陽の黒点少なく周期に異変 今秋の極大期研究者が注目
 太陽の活動が弱まっていく兆しがある。異変が長期化すると、大規模な気候変動につながり、私たちの生活にも大きな影響が出る可能性がある。太陽の活動は周期的に強くなったり、弱くなったりするが、次のピーク(極大期)とされるのは2013年秋。
 異変は、太陽の中にシミのように見える「黒点」の観察で分かった。太陽は核融合反応によって膨大なエネルギーを生むとともに、内部に強力な地場を作る。この地場が表面に現れると黒点として見え、活動の指標となる。黒点は活動が活発な極大期に多く、静かな極小期に少なくなる特徴がある。
 新たな周期に入った08年以降、黒点は増えつつある。しかし、米航空宇宙局(NASA)は、13年秋の極大期の間に観測される黒点の平均数は73個にとどまると予想する。前回の周期では120個ほど。予想通りなら19006年以来の少なさだ。
 国立天文台の常田佐久教授は「驚くべき状態だ」と話す。また京都大の柴田一成教授は「黒点が少ないと寒冷化し、多いと温暖化したことが経験的に知られている」と話す。
 17世紀の「マウンダー極小期」と呼ばれる時期には、黒点は数年で1個ほどしか見つからなかった。この間の平均気温は現在より0・6度ほど低かったと推定され、英ロンドンのテムズ川が凍った絵が残っている。
【太陽】
 約46億年前、ガスとチリが集まった星雲の中で誕生した。半径約69万6千Kmの恒星で、地球までの距離は約1億5千万Km。エネルギーを生み出す中心核の周りに放射層、対流層があり、一番外側の光球に黒点がある。あと50億年以上たつと急激に膨張して「赤色巨星」となり、水星と金星はのみ込まれてしまうと考えられている。
(2013.1.7北海道新聞夕刊より一部抜粋)