じゃがいも新種「北育8号」

じゃがいも新種「北育8号」は農薬代を大幅に節約
 じゃがいもは南米アンデスの高地が古里で、日本に伝来したのは16世紀末か17世紀初頭といわれています。道内最古のじゃがいも栽培記録は1706年で、今年はちょうど300年目。北海道の冷涼な気候はデンプンのたっぷり詰まった高品質のじゃがいも生産に適しています。今日では全国の生産量の約4分の3を道内産が占めています。
 冷害に強いじゃがいもですが、病気や害虫には弱い作物です。生産者に最も恐れられている病気の一つに「じゃがいも疫病」があります。じゃがいもが疫病にかかると、葉が急激に枯れ落ちていもの肥大やデンプンの蓄積が止まるため、いもの収穫は激減し腐敗の原因にもなります。ヨーロッパでは1845年から数年間じゃがいもに疫病が大発生。特にアイルランドでは壊滅的な被害を受け、数十万人から百万人が餓死する大飢饉となりました。
 現在では、疫病を防ぐ農薬(殺菌剤)で、被害を最小限に抑えることが可能です。ただし、殺菌剤を毎週のように何度も散布する必要があります。
 今年、疫病に強い新品種「北育8号」が農林水産省の委託を受け北見農試で開発されました。アンデスから収穫した野生に近く疫病に強いものを交配親に使い、さらに交配を重ねるなかで、殺菌剤を使わなくても枯れなかった株の中から選び出されたものです。
 殺菌剤を使わなくても疫病による収量や品質の低下が少ないので、生産者は農薬代を大幅に節約でき、安全・安心な農産物を求める消費者のニーズにも応えられるものと期待しています。食味も良好。特にコロッケは、定番品種「男爵イモ」にも負けません。
北海道新聞2006/11/04)より抜粋