アトピー性皮膚炎の特徴

アトピー性皮膚炎の特徴
 アトピー性皮膚炎には、いくつかの特徴がありますが、その一つが、まず強いかゆみです。
日本皮膚学会の診断基準の最初にも「かゆみ」が出てくるように、そのかゆみはかなりしつこく、重症になると、夜も眠れないほどかゆくなったり、血が出るほどかきむしってしまうことも珍しくありません。かきむしることで、皮膚の防衛機能がさらに低下して、皮膚炎は悪化するということをくり返します。
 また、湿疹が長期にわたるのも特徴です。少しよくなったように見えてもまたぶり返すなど慢性的に続きます。乳児の場合は、2ヶ月以上、それ以上の年齢では6ヶ月以上続くのがアトピー性皮膚炎の診断基準の一つです。
 乳児期、幼児期、学童期、思春期、成人期と年齢とともに徐々に症状が変わっていくというのもアトピー性皮膚炎独特の特徴といえるでしょう。
アトピー性皮膚炎の主な誘引
 アトピー素因をもっているだけでは、アトピー性皮膚炎は起こりません。抗原(アレルゲン)が体につくことで、アレルギー反応が起こり、皮膚炎となります。抗原は人によって異なりますが、大きく分けると、生活する場所や周囲の環境にあるもの(環境抗原)と、食べ物に含まれるもの(食物抗原)とに分けることができます。
 環境にあるもので、抗原になるものには、ダニや花粉、細菌、カビ(真菌)などが考えられます。そのほか、汗や機械的な摩擦、科学物質なども引き金になります。
 食べ物が引き金になるのは、乳幼児に多いもので、卵、牛乳、大豆製品が3大アレルゲンといわれており、ほかに小麦や米、そばなどいろいろです。
 何が抗原になるかは人によって異なり、一人の人が複数の抗原に反応する場合も少なくありません。
 また、アレルギー反応とは別に精神的なストレスがきっかけとなって発症することもあります。
順天堂大学浦安病院皮膚科教授 高森 健二)監修