アトピー性皮膚炎はこんな病気

 ◎アトピー素因というのは、外の世界の異物(抗原・アレルゲンとよばれる)が体内に侵入しようとするときに、アレルギー反応を起こしやすい体質の人のことをいいます。
 アトピー素因は、生まれつきのもので、遺伝が関わっていると考えられます。両親のうちのいずれかがアトピー素因をもっていれば、その子どもの6割が、両親とももっていれば8割がアトピー素因をもつといわれている。
 アトピー素因をもつ人の肌は、皮膚の脂肪が少なかったり、汗の分泌がうまくいかないなどの特徴があり、乾燥しやすく、ざらつきやすくなっています。そのため、皮膚本来がもっている外界からの異物にたいする防御能力が弱く、異物が容易に侵入することができるため、アレルギー反応が起こりやすくなっているのです。アトピー素因をもっている人はアトピー性皮膚炎だけでなく、でんそくやアレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎などにもかかりやすくなります。
 患者の年齢をみると、1〜6歳までの子どもに多く見られるものですが、患者は年々増え続けており、今では子どもの1割以上に見られるといわれます。
また、従来は成長とともによくなるのが普通でしたが、近年では成人の患者も増えてきており、成人になってから発病する例も見られるようになりました。
順天堂大学浦安病院皮膚科教授 高森 健二) 監修