がんの3分の2はDNAの複製ミス

■“がんの3分の2はDNAの複製ミス” 米研究グループ
 がんにつながる遺伝子の変異が何によって起こるか、アメリカの研究グループが患者のデータベースを解析したところ、がん全体の3分の2はDNAの複製ミスによって起きていることがわかりました。研究グループは、防げないがんもあるとして早期発見の重要性を指摘しています。
 がんにつながる遺伝子の変異は主に遺伝的な要因や、たばこやウイルス感染などの環境の要因によって起きるとされてきましたが、こうした要因がないのにがんになる人もいます。
 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のグループは、アメリカのがん患者の遺伝子のデータベースなどを使って、32種類のがんについてがんにつながる遺伝子変異が起きる原因を解析した結果を、3月24日付の科学雑誌「サイエンス」に発表しました。
 その結果、遺伝子変異が起きるのは、遺伝的な要因が5%、環境の要因が29%だったのに対し、誰にでも起きる細胞分裂の際のDNAの複製ミスが66%を占めていたということです。
 この割合はがんの種類によって異なり、複製ミスによる変異が、前立腺がんや脳腫瘍などでは95%以上と高かった一方で、肺がんの場合、たばこなどの環境の要因が65%だったということです。
 研究グループは、がんは複数の変異が重なった場合に起きるため、およそ40%は環境や生活スタイルの改善で予防が可能だとする一方、防げないものもあるとして、早期発見などの必要性を指摘しています。