風力から水素「究極のエコ」事業化

■風力から水素「究極のエコ」事業化 苫前町と道内外企業、貯蔵し燃料電池
【苫前】留萌管内苫前町は新年度、道内企業などと協力し、同町所有の風力発電所でつくった水素を、町営温泉施設で燃料に活用する事業に乗り出す。太陽光や風力など再生可能エネルギーでつくった水素を各種のエネルギー源に活用することは、二酸化炭素を排出しない「究極のエコ」とされ、実用段階まで持っていくのは道内で初めて。
 日常生活や産業で使うエネルギーに水素を利用する「水素社会」を目指す国の取り組みに基づき、新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)の補助事業として行う。 事業には、水素の貯蔵技術を持つフレイン・エナジー(札幌)のほか、電気分解装置を製造する川崎重工業(神戸)、水素ステーション設置・運営を手がける豊田通商(名古屋)なども参加する。
 期間は2017年度までで、総額10億円規模と見込まれる事業費は全額、NEDOが補助する。
 計画では、苫前町所有の苫前夕陽ケ丘風力発電所(3基、出力計2200キロワット)の敷地内に床面積約100平方メートルの実験棟を設ける。水を電気分解して水素をつくる装置や、出てきた水素をトルエンなどと結合させて液状の水素化合物「有機ハイドライド」に変える装置を設置する。ここでつくった有機ハイドライドはコンテナ型タンクに貯蔵する。
 さらに、約1キロ離れた町営施設に車両で運び、特殊な装置で再び水素を気体に変え、発電用燃料電池の燃料にする。起こした電気は温泉施設の照明の一部に使うほか、非常用電源としての利用も想定している。
(2015.02.11北海道新聞より一部抜粋)