泊原発の地元4町村は「安全」7町「安全でない」

■30キロ圏首長アンケートによると泊原発の地元4町村は「安全」、7町「安全でない」
 東京電力福島第1原発事故を受け、北海道新聞社は4月18日、北電泊原発(後志管内泊村)から半径30キロ圏内の後志管内13町村の首長を対象に行ったアンケートの結果をまとめた。泊原発の安全性について、約10キロ圏内の地元4町村を含む5町村が「安全」と答えたのに対し、7町が「安全ではない」と回答。泊原発の今後のあり方では、2町が運転を停止した上での点検を求め、2町が3基ある原子炉を老朽化した順に廃炉とするよう主張した。
 泊原発事故を想定した道の地域防災計画は事故が起きた際、半径約10キロ圏内の泊、岩内、神恵内、共和の地元4町村を避難対象地域と定め、避難計画や道、北電との連絡態勢を整備。赤井川や余市など、おおむね10〜30キロ圏内の9町村は対象外だが、福島第1原発事故では半径30キロ圏内が避難対象区域や屋内退避区域となっている。
 アンケートでは「現在の泊原発は安全か」との質問に対し、地元4町村と仁木町が「はい」と答え、赤井川村は無回答だった。「いいえ」と答えた7町のうち、寿都町の片岡春雄町長はその理由を「(福島の事故は)原発安全神話を一変させた」とした。
 泊原発の今後のあり方を聞いた質問(選択回答)では、倶知安町蘭越町が「一度、運転をストップして安全を確認してほしい」との回答を選び、このうち蘭越町の宮谷内留雄町長は「道民が納得する十分な安全確認」を求めた。
 寿都町と仁木町は「運転を続けても良いが、老朽化した原子炉から順番に廃炉にしてほしい」を選んだ。
 一方、泊村と岩内町は「現在のまま運転を続けてよい」を選択。残る7町村は「その他」で、「地域住民の安全を最優先に運転されるべきだ」(山本栄二・共和町長)「あらゆる安全対策に直ちに着手すべきだ」(松井秀紀・積丹町長)などと答えた。
 また、地元4町村だけを対象にした現行の地域防災計画については、無回答だった岩内町を除く地元3町村が「妥当」と回答。9町村はすべて「妥当ではない」と答えた。
 地元4町村とそれ以外の9町村で泊原発への考え方が大きく分かれたことについて、岩内原発問題研究会の斉藤武一代表は「4町村は仕事や電源立地地域対策交付金などの関係で泊原発と関係が深く、原発を否定しづらい雰囲気がある」と指摘する。
 北大公共政策大学院の田中洋行教授(危機管理)は「地元4町村は原発について頻繁に説明を受けているが、9町村は説明を受けていないため、不安を感じるのではないか。原発との関係いかんによらず、北電や道は広く情報を公表すべきだ」と話している。
(2011.04.19北海道新聞より)