甘草(カンゾウ)

漢方薬の原料甘草カンゾウ
 甘草(カンゾウ)は中国から中近東の乾燥地帯に分布するマメ科多年草。痛みや炎症を鎮める成分(グリチルリチン酸)を根に含み、健康保険が適用される漢方薬の75%に使われ、風邪薬の葛根湯など市販薬にも入っている。近年乱獲による砂漠化の進行を防ぐため、中国の採取規制で品不足が懸念されている。
 農薬や化学肥料は使わず、米ぬかや小麦の表皮を発酵させた独自の肥料だけを与え、現在はオホーツク管内訓子府町の3箇所の畑で600株を育てている。
 栽培を始めて3年目の昨年9月、北海道医療大に成分分析を依頼。その結果、グリチルリチン酸含有量は、提出した3株の根のうち、露地栽培2年目が3・14%、3年目が3・46%、ハウス栽培が1・19%だった。薬の規格を定める日本薬局方は、甘草(カンゾウ)を漢方薬使う場合、2・5%以上のグリチルリチン酸含有量を求めている。
 道内では医療基盤研究所薬用植物資源研究センター北海道研究部(名寄市)が10年ほど前から試験栽培に取り組んでいるが、基準を安定して超えられないという。訓子府で基準をクリアできた理由は気候条件や土壌環境にあるとみられるが、道医療大の高上馬希重准教授(生薬学)は「要因ははっきり分からない」とした上で、「2・5%を超えるのは難しい。栽培規模を大きくしても、株ごとのばらつきがなければ(本格栽培の)可能性はある」と話す。
(2011.01.06北海道新聞より一部抜粋)